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そこから何が見えますか

レースを選ぶとき、過酷さや難易度もさることながら、

「そこから何がみえるのだろう」

という好奇心を基準にしているように思います。

スタートから30時間近く経過し、2本の脚だけでたどり着いた246km先、
スパルタスロンの、ラストの直線から見えるレオニダス王像はどんなふうに見えるのだろう。。。

何万年前にそこにいた生き物が見たのと同じ、すっぽんぽんの地球のありのまま。
そのBadwaterの、見える限り真っすぐな焼けつくロードと煙るような天の川、そこにゼッケンをつけて放り出されたら一体なにが見えるのだろう。。。

スパルタで準優勝したチームメイトのてっちゃんに聞いたことがあります。
「どんな景色だった?」と。

「う〜ん、すごいです」と返ってきたように覚えています。
レースゴールの夜、スパルタ市のほとんどの住民が集結した街の広場で行われた表彰式の、ライトアップされた準優勝の表彰台から見た何千ものギャラリーがどう見えたのか、を尋ねたときの回答です。

理系の彼は常に冷静で、感動を強要するようないわゆる狙った発言はしません。
その彼がそれでも、だからこそ「すごい」としか言い表せなかった景色、どれだけすごいのか、すごいということ以外は想像も出来ません。
「う〜ん、すごいです」には「自分で立って見ないとわからないと思います」というセリフが続くのでしょう。
もちろん、優しい彼は岩本にそんなことは言いませんでしたが。。。


昨日、横浜国際女子マラソンを観戦してきました。
約300人の精鋭しか立つことの出来ない女子ランナーにとって特別な舞台。

僕の元に走りに集まったメンバー達がその舞台を走りました。

両脇にいっぱい集まったギャラリーの視線は閉鎖された道路を独占する少数のランナー達に注がれます。

僕たちは選ばれしランナー達を見るためにそこに行きました。

見られる側のランナー達は、2本の脚だけで厳しい資格タイムを突破して出場をつかみ獲りました。
その彼女達の目に、たどり着いた横浜はコースからどう見えたのでしょう。
「すごい」ということはわかるけれど、一体どのように「すごい」のでしょう。
そこに立たないと絶対にわからない風景ですよね。

限られた者にしか見えない特別な景色、これが走り続けてしまう理由かもしれません。






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