※この記事、長くなってしまいました。
テキトーに流してください。
「さてさて、あさってはレース!だから今日はマッサージ!」
というレース前のルーティーンをお持ちの人も多いことでしょう。
レース前に疲労を抜くためにマッサージに行く。
とてもいいことだと思います。
が・・・、やり方によってはレースがつらく苦しいものになってしまうこともあるのです。
怖いです。
今日はちょっとマッサージについて考えてみましょう。
まず、マッサージの目的(効果)はなんなのか。。。
大きく言うと「疲れを取る」こと。
ではどうやって取るのか。。。
筋肉の張りをほぐして緩め、疲労物質を血流に乗せて除去することで「疲れを取る」わけです。
キーワードは、
「張り」「ほぐす」『緩める」
そもそも「張り」ってなんなのでしょうか。
今、誰かに思いっきり脚の筋肉を掴まれたとします。
その部分の筋肉、どうなりますか?
ギューッと硬直しますよね。
なぜか?
痛い からです。
痛さ を感じた瞬間、痛みに対抗するために筋肉がギューッと硬直します。
では、この場合の 痛み ってなんなのでしょうか。
強く掴まれると 筋肉が壊れるかもしれない という危険を感じ、更に強く掴もうとする指を押し返すために 収縮するのですが、その壊れるかもしれないというサインに対するアンテナが「痛み」だと思ってください。
電車で立ちながら居眠りしている人、膝がカクッと抜けた瞬間、無意識にグッと踏ん張ります。
電車で立っているとき、急に電車が揺れたとき、無意識に足が前に出ます。
電車でボーっと外を眺めているとき、隣の人の手がつり革から外れて目の前に現れた時、無意識に目をつぶります。
これ、全部危険から身を守るために意識せずして反射的に身体がとった行動です。
これが危険回避のための「反射」という反応。
マッサージでギューッと掴まれた時に痛くて筋肉が収縮するのもこれらと同じ、危険回避のための「反射」収縮なわけです。
マッサージの先生が脚を触って、
「あ〜、張ってますね」
と言ったとき、アナタはノーテンキに「よくわかりますね」とか返事をしてはダメです。
先生が普通に揉んだ時、その普通の揉みにさえも危険回避のための無意識な反射収縮をしていれば、それは先生でなくても簡単にわかるわけです。「よくわかりますね」も何もないんです。
さて、ここからが先生の腕の見せ所です。
張っている筋肉をほぐす・・・、
つまり、目に向かって飛んできたボールに対して目をつぶる状態から、ボールが飛んできても目をつぶらない状態を作るのと同じことをやり始めます。
どうやるのか・・・、
目に向かって飛んできたボールに目をつぶるのは再三書いているように危険回避のための反射です。
この反応を起こさないためには・・・、
はじめはすごーくゆっくりとボールを目に近づけます(もちろん目の直前で寸止め)。
次はすごーくゆっくりではなく、ほんの少し速く目に近づけます。
徐々にボールを近づけるスピードを速めていきます。
目の直前で寸止めすることが分っているから、最終的には最初に目をつぶってしまったスピードでボールを近づけても目を開けたままでいられるようになります。
マッサージでも同じこと。
反射収縮反応が起こらないくらい、最初はゆる〜くゆる〜く痛くなく揉みます。
少しずつ少しずつその揉みを強くしていき、最終的にはギューッと揉んだとしても反射収縮反応が起こらなくなります。
このようにして完全な「反射解除」状態を作るのです。
この状態を先生は「ほぐれた」または「緩んだ』と表現します。
電車居眠り膝かっくん→反射的に踏ん張る(しかも寝てるのに)
も
電車揺れる→反射的に足が一歩出る
も同じで、この車内行事も反射反応を解除してあげればふたりともちゃんと転びます。
このようにほぐして緩める行為の中で血流は活性化し、疲労物質もどんどん除去され、文字通り本来の目的である 「疲れを取る」 ことに成功したことになります。
ここまでは「先生ありがとう!」です。
ここから先は先生を離れ、あなたの出番です。
先生に疲れを取ってもらってリフレッシュした身体でレースに臨む。
素晴らしいことです。
が・・・・・・、それだけだと、ひとつ大事なモノが失われた状態です。
先生が解除してくれた「反射収縮反応」がOFFのままの状態なのです。
この状態の脚のままレースに出るとどういうコトになるのかというと、
「身体が重たい」
「キレがない」
「スピードが出ない」
「まるで夢の中で走っているような感じで頑張ってるのに前に進まない」
状況に陥ります。
よく、トップ選手が口にする、
「レース前に刺激を入れる」
という言葉、聞いたコトありませんか?
これは疲れを取るためにほぐして緩めた脚筋に再び反射反応を取り戻すことを言っているのです。
何度かこのBlogで書いていますが、RUNの場合、特に下半身の筋収縮は反射収縮です。
つまり、「走る」という行為は身体を危険に晒すことでもあるため、危険回避のための反射収縮が起こるのです。
一方、上半身はというとこれは反射による収縮ではなく意思による収縮です。
競技によって意思による筋収縮で身体を動かすのか、反射による筋収縮で身体を動かすのかは大きく変わります。
例えば、水泳は全身をほぼ意思による筋収縮だけで行なう競技です。
一方、マラソンは一歩一歩地面と対峙するため、下半身の収縮はより安全度を高めるために反射が使われます。
では、RUNでの反射にはどういうものがあるのか代表的なものとして・・・、
◎着地(直前)時の前ももの収縮
→この時、反射収縮がなければ、膝関節を着地衝撃から守ることができない、身体が過剰に沈み込み転ぶ、などの危険がるワケです
◎体重が足首に乗ったときの収縮
→足首が鋭角に曲がり過ぎるのを防ぐために反射が使われます。反射しなければ足首関節を壊す、アキレス腱を断裂する、ふくらはぎの肉離れを起こす、などの危険があります。
これらの働きがマッサージによって解除していたままレースに出たら、身体が重くキレがないだけでなく非常に危険でもある、ということでもあるのです。
なので、レース前にマッサージをしてもらったら必ず翌日以降にダッシュやウィンドスプリントなどの速い動きをして反射を戻してレースを迎えることが大切です。
あと・・・、逆にマッサージや鍼を施したのに翌日シャープで速い動きがスパッと出来ている場合、マッサージや鍼が効いてないかも、という可能性があるかもしれません。
長くなりましたがお腹が空いたのでこの辺で。。。