沖縄の言葉で塩はマース。
さてきょうはこのマースはまったく関係なく、塩についてです。
レース中のエイドのテーブルに無造作に置かれた塩を見たコトある人も多いことでしょう。
おとといの富士五湖ウルトラでも水と塩だけというエイドもありました。
回りくどい性格(と人生)の持ち主なので、ここは単刀直入に結論からいきますね。
『 エイドで塩は摂ってはならない 』
です。
なぜ、レース中に塩を摂るのか?
皆さんはどう答えますか?
「発汗で塩が失われるから」
と答えるのではないでしょうか。
では、発汗で塩が失われるとなぜダメなの?
「だって脚が攣ったり、脱水になるから」
そうですね。
そんな感じです。
(あ、脱水と塩は関係ないですけど)
(脚攣りのメカニズムと、脚攣りとナトリウムの関係は長くなるので省略)
多くの皆さんは脚攣り防止のためにエイドで塩を摂るようです。
本題入ります。
発汗で失われるのは塩ではなく「ナトリウム」です。
だったら塩ではなく「ナトリウム」を摂ればいいのです。
大きな問題は 『 塩 = ナトリウム 』 という認識です。
塩はナトリウムではなく塩化ナトリウムです。
(確かにナトリウムも含まれますけど)
「だったらナトリウムを摂りたいんだから塩を摂るのもアリでしょ?」
と言いたげですね?
ところが・・・、
塩はある 悪さ をすることで有名です。
その 悪さ とはいったい何なのか?
「胃粘液を剥がす」のですね。
ランナーの皆さんもレース中に胃腸のトラブルに見舞われる人は多いと思います。
走行中は血液の多くが筋肉や体表に行ってしまい、胃はまさに丸腰。
非常にデリケートな状態です。
胃は僕たちが食べたモノの多くを、ほとんどどんなものでも消化液によって消化しようとします。
それはもう凄い破壊力です。
胃液って聞いたコトありますよね?
胃は胃液という消化液で満たされています。
なぜか・・・、食べたものを消化するためです。
その胃液、物凄い酸度です。昭和時代の10円玉でさえピカピカにしてしまうほど強い酸です。
そんなに強い酸が胃に入っていて胃は大丈夫なのでしょうか?
全然大丈夫ではないです。
胃粘膜に直接胃液が触れたら簡単に急性胃炎です。
そりゃそーです。10円玉がピカピカになるんですから。
ではなぜ、胃は大丈夫なのか。。。
それは胃粘液で覆われ守られているから、です。
こんな感じ。
ありがたいですよね、胃粘液。
この胃粘液さんが10円玉キラーの胃液をブロックしてくれているのです。
いつもいつもありがとう!胃粘液さんっ!
さぁ皆さんご一緒に!
「いつもいつm・・・以下略」。
この胃粘液、ムチンという成分で出来ています。
ムチンによる粘液、我々人間だけでなく多くの生物が持っています。
その代表がサカナです。
サカナによっては表面を触るとヌメヌメしてません?
そのヌメリこそ胃粘液と同じムチンなのですね。
さてさてっ!
お料理するとき、サカナのヌメリをどうやって取り除きますか?
そうそう、塩でサカナのヌメリを取りませんか?
つまり、ムチンは塩で簡単に崩壊するのですね。
まとめます。
走って弱っている胃は胃粘液で胃液から守られています。
走っているあなたは「脚を攣りたくないから」、「いいから摂れ」、と言われているから、
「そこに塩があるから」、塩を摂ります。
その塩が胃粘液をベロンと剥がします。
胃粘膜がむき出しになります。
そこに塩+胃酸が直撃します。
胃→→→大ダメージ!!
とここまで読んで「あっっっっ!」と声を発したあなた、
あたたはきっとレース中に塩を摂って数秒後ドッカーンとリバース(嘔吐)した経験をお持ちですね。
または、塩を摂取した後、消化器系に異変を来した経験をお持ちのひとも多いことでしょう。
確かにこの状態だと胃の動きは一気に鈍化し、タポタポしっぱなしだったり、気持ち悪さが続いたりが普通に起こります。
※炎熱サプリやアスリートソルトは「塩」ではなく、
ちゃんと「ナトリウム」含有サプリメントですからご安心を。。。
ここから先は美しい話ではないのでお身体が健全な時に読んでください。
岩本、もの凄く胃腸系強いです。
200kmオーバーのレースも20回以上経験していますが、胃腸のトラブルはほぼゼロです。
(もちろん胃出血程度ならしょっちゅうありますけど)
でも、過去3回だけ『 R(リバース) 』したことあります。
2010年。初めてのBadwaterで水分吸収能力が摂取量に追いつかず、の満タンからのやむを得ない『 R 』。
これは今回のケースとは関係ない特殊環境下での特殊例です。
残りの2回。
2000年に初めてスパルタスロンに参加したとき、60km地点辺りのエイドにあった塩をひとつまみ口に入れ、走り出した直後。
2005年頃、練習で塩タブレットを摂った数十秒後。
と、ぜっっっっっったいに『 R 』はあり得ない強靭な胃がいとも簡単に、って経験でした。
なぜ摂ったか?
だってチマタではフツーに「塩を摂れ」っていわれてるし。
常識って怖いすよね。
よかれ!と思って摂った塩がレースをよりつらいモノにしてしまう筆頭例がこれです。
だから、塩ではなくナトリウムを摂ればいいんです。
では、塩ではなくナトリウムは何で摂ればいいの?
はい。
あなたの飲んでいるスポーツドリンク、経口補水液、サプリメントの成分表を見てください。
ちゃんと「ナトリウム」含まれてますよね?
それで充分です。
ではトドメ、いきます。
貧血で鉄分が必要なとき、あなたはクギを食べますか?
つまりそーゆーこと。
ご利用は計画的に♪