すっかりほとぼりも冷めた頃ですが。。。
長々とすみません。
これが最終回。一応完成させないとね。
ということで画像中心に最後まで行っちゃいます。
途中画像を小さくするのが面倒になってオリジナルのままあげちゃいました。
(携帯が通信規制中の中学生のような大人の人たち、ごめんなさい(笑)。
スタートは7月8日午後9:30 2ndウェイブスタート。
↓入りの70kmは細かいアップダウンを繰り返しながら海抜マイナス地帯を行きます。
今回から夜スタート。
昼スタートと比べると暑くないです。
スタートして3時間もすると前後のランナーはポツリポツリという感じでひとりになるようになり、けっこう「地球感」あります。
ちょうどこの日は満月。
だから月面のような風景もすごかったし、流れ星もビュンビュン見えたし、ブッシュの奥の方で遠吠えするコヨーテの群れも感じられました。
夜なので画像が残っていないのが残念なのですが、人工物は先行するランナーのライトとそれぞれのランナーのサポートカーが見えるだけ。
いい感じです。
2012年に優勝して今年も走ったオズワルドがこんな↓写真をアップしてたので拝借。
どーやって撮ったんだろう? 謎。
もちろんこんなに明るくないけど、なんとなくこんな感じ。
合成かな?
とは言え、このスタートから第2チェックポイントのストーブパイプウェルズまでの70kmが今回の岩本にとっての勝負どころ。
実は今回、練習で走れた最長は70km。それも1回だけ。
だから70kmまでは走れることは判ってたし、70kmまでは走る!と決めていました。
残りの150km?
最悪歩き倒す(笑)。 だから7時間歩行練習なんてのもやったわけだし。
この70km区間、過去3回6時間23分で走っています。
たまたまではなく1番速く走れた年はここを6時間23分で通過したので、その更新を目指した他の2回もそのタイムを意識したのでしょうね、きっと。
今回は驚くなかれ7時間59分(笑)。
55km辺りではキロ8半くらいまで落ちて人知れず相当慌てました。
眠さもあったのでしょうね、オルガニックがズバッと効いてまた動き出せました。
(本当、マジでどうなるかと思った。今だから笑って振り返られるけどさ)
70km地点ストーブパイプウェルズ到着。
スタートからのこの区間は暑さもないのでクルーとの接触は2〜3マイル間隔で。
さて!ここから25kmほどの上りが始まります。
こうやってみると↑平らだけど(当たり前)、一応次は↓こんな感じ。
ストーブパイプウェルズが標高0メートルでこの坂の頂上がちょうど標高1500メートル。
1500メートルというとけっこうなエグさに感じるけど25kmも使って1500メートル上るだけだから勾配自体はラク(なはず)。
ただ、この上り1本ではなく、地熱と突風と夜通しの小刻みなアップダウンの70kmを走ったあとだからそこそこ急に感じます。
ほら、野辺山でいう馬越峠とか、そこ1本だったら特別急坂でもないけど、前にやはり70kmあるから歩く人がいるし、そこそこ坂に感じられる、っていうアレと似た感じでしょうか。
で、この坂の途中ではできるだけ後になってから出会いたいものが追いかけてくるわけです。
日の出ね。
太陽が出た瞬間から10分に1℃ずつくらい、気温が急上昇を始めます。
ほら、太陽が今まさに!って感じで昇る直前。
岩本の上半身の黄色いのは夜に付けないといけない反射するアレです。
分かりにくいけど来た道は見えなくなるまで上りです、ここ。
湿度15%くらいなので喉に潤いがなくなった瞬間に熱い空気で喉の粘膜が火傷します。
だから常に水分で湿らせながら進むのですね。
右手にメダリスト、左に水。
この写真はサポートカーのクルーが撮ったもの。
なんか指示してますね、クルーに向かって。
きっと「ほら、あっちの山に太陽が当たり始めたよ」って感じ?
ついに太陽出た。↓雲ひとつなし。こーゆーの大好き。
クルーによるドリンク交換、スポンジ交換、あとは霧吹きでのクーリング。
この作業中はひたすら食べて飲み続けます。
食べ物は素麺、ジェル、フルーツ、あとフルーツ缶などね。
前にポツンとランナーいますね。
あと標高で400メートルくらい上る感じ。
あの↓平野が海抜0メートルくらい。
太陽が昇ったから反射する黄色いの脱いで手に持ってますね。
ちなみにサポートカーはこんな↓感じ。
クルーたちの2晩にわたる移動式住居。
岩本、今回コーンロウだからさ、日焼け怖いわけで。
太陽が昇ったらすぐにアタマ隠されます。
聡子ママ手伝う↑。。。
行け! → はい!
あと5km、標高にして300メートル上れば下り、って辺り。
90kmくらいまで来たのかな?
歩かずにここまでこれていることが実はけっこう嬉しい。
そして写真はないけど頂上通過。
1個目の山、終了!
次、ここ下ります。
標高1500メートルから600メートルまでドーンと下ります。
楽しいですよ〜下り。
100km近く走ってきたあとの下り、キツくないの? いや言いたいことはわかりますが上りよりいいって。
ビュンビュン行くよ〜!
左手に持っているのはベルトが切れてボロボロになった昔使っていたガーミン。
今使っているGPSウォッチは20時間しかもたないのでこの時間はサポートカーの中で充電中。
その間のリザーブというわけです。
左前方に↓谷が見えますよね?その谷に一直線の道があるのわかります?
その直線の道まで下ります。そのまま直進して、その先になんとなくごちゃごちゃっとした部分ありますよね。
そこが第3チェックポイント117km地点のパナミントスプリングス。
そしてさらにその先の山を越えるのが2個目の上り、という訳です。
下りでも止まってクーリングします。
とそこにある人物登場。山下トレーナー↓がその人物に気づきガン見。。。
発見したのは 変な生き物 すごい人。
知る人ぞ知る 知らない人は全く知らない
泣く子も 笑う 黙るブラジルのバルミール・ヌネス選手ね。↓
一応彼の名誉のために書いておくと単なる露出狂エロオヤジではなく、
100km6時間18分(元世界チャンプ)、24時間走274km(元世界チャンプ)、2001年スパルタスロン優勝、そしてこのBadwater135でも優勝(そのタイム22時間42分は昼スタート時代のコースレコード)という人。
10年以上前から岩本も西くんもこの黄色い里奈も同じレースで走ったり、レース後朝まで宴会したりの仲なのだけど果たして俺と西くんの区別がついているのか怪しいというのがもっぱらの定説。今回はブラジル選手のクルーできていました。
そしてやっとパナミントの谷まで下りきりました。
次は↓この区間です。
なーんだ!走りやすそうね。でしょ?
でもここから気温急上昇(この日は47℃程度)するし、下った直後だから脚にそこそこ来ていてそしてずっとまっすぐ。
これから先5時間後に通る場所が普通に見えたりするので・・・・・はい楽しいです。
この道が↓表紙のまさにここ。だから見たことある人も多いかと。。。
(お急ぎの方、あと4冊でAmazon売り切れます)
きっとこの区間はクルーがいなかったら干からびて土に還るかも、な区間。
クルーのお仕事↓を連続写真で見てみましょう。
で、ちょっと話はそれるのだけどこのBadwaterというレース、走っているランナー全員がとにかく仲がいい。
そりゃ順位やタイムなんかも気にしながら走るレースだけど、抜くときも抜かれるときも相手を慮る気持ちがハンパない。
それはランナー同士だけではなく、別のランナーのクルーもそう。ケアを終えたとして、その近くをひとりポツンと別のランナーが通り過ぎるときなんか、必ず大丈夫か声をかけてくれるし、貴重な水でクーリングしてくれる。時には前後するランナーが自分のクルーに「あいつ少しヤバいかも」って伝えてくれて前を急ぐために走らせているクルマを停めてまでアレコレしてくれる。
で、岩本はずっと思っていたのですよ。
「この人たち、すっげーいい人なんだな!」と。
でも多分、ちょっと単純にそーゆーことだけではないことが今回わかったんですね。
この区間、クルーAとクルーBが岩本をケアして→終わって→サポートカーに戻るまでの様子をクルーCがたまたま撮ってて、そして岩本は初めて知らされたのですね。↓
あ!オルガニック飲んでる!
こんなふうに岩本へのケアが終わるじゃないですか。。。
そして↓次のランナーとそのペーサーがケアを終えたクルーA、クルーBに近づいてきます。
さらにその後ろにも次のランナーとそのペーサーが近づいてくるのですが、わかります?↓岩本の次のランナーたちのケアをしてるんですね。
そしてさらに近づくランナー&ペーサーにも・・・
さらにその次のランナー&クルーにも。。。
当たり前のようにクーリングしてあげてフツーにサポートカーに戻ってくる。
こういうことが巡り巡って他のランナーやそのクルーから普通に岩本にも返ってきていたんですよね。
6回も走っているのにこの写真を見るまでクルーがここまでしてくれていることを知ってかなり嬉しいのですよ。
さて先を急ぎますか。
やっと着きました。第3チェックポイントのパナミントスプリングス117km地点。
スパルタスロンで言えばネメア(124km)地点と同じような距離ですけど、サンガスの登山口(159km地点)くらいまで来たような感じです。
パナミントを出るとさぁいよいよ次は2個目の山!ということで山下トレーナーに鍼とマメの治療をしてもらいました。
その2個目の山はこんな↓感じ。
エグいです。この山も標高1500mまで上ります。
この区間を全部走って上れることは2度とないと思ってたんですよね。
今回、走って上れました。
今まで固辞してきたペーサーとのRUN、今回ついに解禁。
いいものですね。だから走れました。
岩本、すごーくキツそうに見えるけどキツいっす。
後ろにちょっとだけ見えるのがペーサーの靖子。多分靖子には楽勝ペース?
↑わかります?↓さっき下った1個目の山と横切った谷があっちに。
この頃、この2個目の山を快調に走れているのは前後各10人合計20人のうちで岩本と西くんだけだったみたいで他のランナーは歩き。
つづら折れなので10分前に迫った西くんをいつまで経っても目で捉えることはできませんでした。
でも、実はそんなことはどうでもよくて、とにかくこの山を走って上れていること、しかも西くん共々ガンガンいけてることが嬉しくてキツいんだけど、すごーくキツいんだけど楽しくて仕方なかった区間です。
4人のクルーにもクルーとして、レーサーとしてレースをさせてあげられてることがホント嬉しかったし。
この写真も真後ろを走るペーサーの靖子が撮ってくれたのだけど、ペーサーはですね、もうプラスになることしか言わないわけです。
前に向かうためのエネルギーをガンガンくれるわけです。
中にはクルー2人で参戦するランナーもいます。
でも弱っちい岩本みたいなランナーはランナーの走力ではなくクルーとの総力が必要なんですね。
完全にチーム戦。
この時間、2ndウェイブで間違いなく1番走れているのが岩本と西くんだってことがわかっていたのでレース中、1番楽しかったです。
だって抜いても抜いても追いついても見えてきてもそのランナーは少し先を行く西くんではないわけだから。
だから次のランナーが見えると西くんであってほしい、という気持ちとまだ逃げていてくれ、という半々なんだけど、いいから行け行け!それがふたりとクルー達の原動力じゃん!と。
近いのに追いつかないということは西くんと、西くんのクルーと、そして岩本のクルーも、つまりは一緒に臨んだ10人のうちの岩本以外の9人は西くんのケアで9人一緒になるんですね。
ほら、クルマ2台あるでしょ?これはふたりのサポートカーです。
もうね、ちょっと後ろを走りながらもこの9人が楽しいのはわかりきってたし、お祭り騒ぎなのもわかってました。
それだけでひとりポツンなんだけどやっぱり嬉しいわけですよ岩本までね。
でもだからこそ追いつきたくて「お〜っ!!!!」「到着〜っ!」みたいな、そんな10人が一度に会する場面を作りたくてみんなにも味わってもらいたくて、すげー頑張ったのだけど、、、。
でも楽しかったですはい。Badwaterいいもんですホント。
「岩本さん来てるよ!速く逃げないと!」↓でサッサと逃げる元気な西くん(笑)。
激走西くん。
ペーサーはルリ。
と、そうこうしているうちに2個目の山は終わり、第4チェッックポイント145km地点のダーウィン到着!
次はこの区間。
この区間が終わるといよいよ街!ローンパインの街です。そこまではやはり単調。
走りに来たのだから走る!形だけでも走っているフリ(笑)?
ウォーターボトルはむくんだ中指を入れてぶら下げると落ちないし、持つ必要ないからラク!と発見。
で、現実に直面。
そりゃそうだ。よくもまぁここまで走ってこれたものだ。
ここから先は歩いて走って歩いて歩いて歩いて走って歩いて。。。
でも歩かざるを得ない状況を案ずるよりもここまでレースになったことが嬉しくて楽しくてね。
超キツいんだけど、とにかく「VS地球!」というか「久しぶり!砂漠!」、「やったぜ!逃げ場のない状況!」、「ビバ!疲労困憊!」、「まな板の上のバカ岩本!」な感じがなんども言うけど楽しくて嬉しかった。
鍼にも助けられた。岩本が楽しいからクルーもきっと楽しんだ。
歩く。。。
ただし目標を持って歩く。
キロ9分半はキープする。
ジェット戦闘機飛んでくる。
日が落ち始める。
左の山から↑月が顔を出す。
2回目の夜がやってくる。苦しい時はね、笑うんです。
そして食べるんです。とにかく食べる。クルマにとってのガソリンだからね。
だから「胃が」とか「気持ち悪くて」とか言ってごらんなさい。
「だからなに?バカじゃないの?』とクルーから返ってくるはずです。
フルーツいっぱい食べました。
そしてまた鍼。
あれ?クルーがいない?
みんな月を撮影しに行っちゃいました。みんなで楽しむのがBadwater
この後は夜です。
だから写真はありません。
そしてついにこのレースで1回目の曲がり角!
約200kmも曲がらない一本道だったんですよね、ここまで。
ローンパインの街に入りました。。。
あと21km!
この姿を見ると寒いみたいですね。
覚えてません。
次の区間はここ。ゴールまで標高で1500メートル、距離で21kmだけ。
(ここからが長いんだけど)
走れません!
申し訳ないが無理(笑)。 200km、31時間もここまでかかりました。
あとは最後の上り。
西くんは数時間前に上りにアタック、そろそろゴールかな。。。
2度目の朝。あの向こうの山がゴールです。
歩く歩く歩く。
太陽が出ました。すぐに気温上昇。シャツ一枚に。
今回も里奈には何回も助けられました。
遠いよね、見えちゃうだけに。
あのサポートカーさえも遠くて遠くて(笑)。
この山を上ってゴールするとランナーはクルー達とサポートカーに一緒に乗って、走って来た道を戻ってローンパインの街に入ります。
西くんがゴールした頃。サポートカーが西くんを乗せて降りてくるはずだからそれを楽しみに少しでも上る。
ぼーっとしながら上っていたら前からニューハレのアクティが。。。
見るとその奥に2台のサポートカー。
岩本のサポートカーがゴールに向いていて西くんのサポートカーがローンパインを向いている。
西くんゴールしたのか。俺より先にゴールか。。。嬉しかったなぁ。
アクティ、マジありがとう。
もちろんニューハレにも大いに助けられた旅だったよ。
ぞろぞろ降りてくるじゃない。
ものすごく表現しがたい感覚でした。
旗を持った西くんと握手。
ここで交わした会話は多分ふたりとも一生忘れないかな。
あ、知らない人に言っておきましょう。
俺と里奈と西くんは今年で25周年。デビュー25年目で解散が決まったスマップより長いんだぜ。
西くんチームのみんなと握手。
いってくるぜゴールまで。
といいつつ。長い長い(笑)。
あと9km↓あの向こうのスイッチバックを上って裏側に回ってゴールなんだけどね。
この数キロ先ですかね。
岩本、西くんともう一人日本人として参加したJo Yoshikoさんに並ばれ抜かれました。
強かったなぁ、レース中も他に2回ほど前後したけど絶対的な安定感。
負けて悔しくないかというと、そりゃ悔しいけれどJoさんはすごーく一生懸命準備していたしね。
脱帽ですよ。あっぱれ。自分完敗!
(次、勝ちたいな(笑)。 Joさん↓
ここから先、写真ないです。
で、もうすぐゴール。よく見るとちゃんと樹木がありますよね。もう砂漠じゃない。
完走バックル。
ということで長かったぁ。。。
いやこれ書くだけでマジ疲れました。
振り返るとずーっとクルーと一緒にいるように見えますよね。
でも写真があるということは「誰か」が撮ってくれているということで、そのほとんどはクルーが撮ってくれているわけです。
実際にはほとんどの時間帯は地球と自分だけだったりするのだけど。
でも、こうやって見返してみるとどっちのチームもクルーが楽しそうで本当よかったと思う。
2000年からウルトラレースに出始めて、いろいろと走ってきました。
リタイアしたり、たまに勝ったり、ホントいろいろ。
でも今回のゴールが自分史上、1番嬉しいものとなりました。
どうしてかって、そりゃここまでの734日間、マジキツかったから。
何がどうとかはもう書けない。
だってこのゴールで全部忘れたから(笑)。
そんなものすべて過去過去。
クルーのみんな、西くんチーム、ありがとう。
超ウルトラをリザルト狙いでやっているといつかは走れなくなります。
自分だけは、と思っていても絶対誰にでも訪れる壁。
もう信じられないくらい思うように走れなくなりました。
そして今回ゴールして思いました。
そうなってからがウルトラだ、と。
だからね、やりますよまだまだこれからも。
もちろん順位1個でもタイム1秒でもいいリザルトを目指してね。
最後。。。
今回1番の一枚。
ゴールに向かうヨレヨレ岩本の背中を西くんチームのみんなはどんな気持ちで見ていたのかな。。。。。